ねぇ、嘘じゃないよ
あの日のこと
…私と愁夜は、幼馴染。
お父さん、お母さん、愁夜のお母さんの美恵さん、愁夜のお父さんの健永さん。
四人も、幼馴染で。今でも大の仲良しで。
だから、私たちは、これほど仲良くなくたって、切っても切っても繋がってしまう縁があるんだろう。
でも、そんな心配もいらないほど異常なほどに仲が良くて、何をするにも一緒。
か弱かった私を守ってくれたのは愁夜で。
春も夏も秋も冬も、朝も夜も夕方も、ずっとずっと、いっしょだった。
親も美恵さんも健永さんも、本当に仲がいい私たちを暖かく見守り続けていた。
ぎゅっと手を繋いで、顔を上げるように導いてくれた、私の幼馴染。
そんな愁夜に恋心を抱くのは、難しいことではなかった。
小学校に上がる頃には、私は愁夜のことを、幼いながら好きになっていた。
ずっとお兄ちゃんみたいに、守ってくれた愁夜は、私の隣にいて当然な、存在。
子供✖︎幼馴染でお馴染みの、「お前らデキてるだろ!」とか、「夫婦だ!」とかの声に、私は顔が赤くなって何も言えなかったけれど。
「ゆうを守るのは俺だ!だから一緒にいてとーぜん!」と、恥ずかしげもなく堂々と愁夜は言っていた。
中学に上がってからは、少し、距離が離れてしまった。
私は私で、愁夜は愁夜で、でもすごく仲良く、朝一緒に登校して一緒に下校して、昼休みはそれぞれのグループが混ざり合って話して…。