ねぇ、嘘じゃないよ
一緒に仕事をして行く中で、親しい人がいる。

その事実が、私たちにとっては、ありがたいものだから。



ヘンな意地も拗ねも忘れて、バカな愁夜はあったことさえ多分、すっかり忘れて。

私も、愁夜を、諦め…たくて。



ずるずる、無視しつずけた結果にあるのが、今の、関係。





…自分の心の醜さが、嫌になる。


幼馴染という立場を利用して、隣にいるだけ。



しかも、恋心まで抱いてる?



もう、よくわからない。




…っ。

あ、私。
お母さんに言われた、言葉があったんだ。

「ゆう、よーく聞いてね。ゆうにいつか、好きな人ができたら、これを覚えててほしいの」
「すきなひと?」
「そう、好きな人。ゆうにとって、ものすごく、大切な人となるのよ」
「たいせつな、ひと」
「そう。好きな人ができたらね、ゆうは悩むでしょう。なんで?となるのかもしれない。諦めたくなるかもしれない。でもね、ゆう。ちゃんと覚えててね。好きな人が好きな理由なんか、ないってこと。好きで、いていいってこと。わかった?」
「…わかった!」

当時の私は、幼くて、愁夜と早く遊びに行きたくて、あまり聞いていなかった。

だって、4歳児の子供に、そんな難しいこと、言ったって、わかるはずがない。


でも、覚えてて、そう言われたからか。


ずっと、その言葉だけは、心に焼き付いてたのに。




…忘れちゃってた。
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