ねぇ、嘘じゃないよ
永遠と感じられるその幸せなひと時は、もっとたくさんの幸せの入り口となる。
2人、階段に座って、並び合うシルエットが映し出された。
「なぁ、ゆう。好きだ。付き合ってくれ」
未だに犬みたいにしょぼんと自信がなさげな私の未来の彼氏を、ぎゅっと抱きしめた。
「…順番逆だな」
はい、そう言える前に、自笑して愁夜は、私の唇にまたちゅっと口付けをした。
甘い声が出て、顔が赤くなる。
「ねぇ、嘘じゃないよ」
「本当に」
泣きそうな、その顔をじっと見つめる。
すっと、息を吸った。
「知ってる」
「私も、好き、です。よろしく、お願いします」
慣れない告白の返事にはにかんで私は、顔を逸らす。
「っ、今日から俺の彼女、でいいんだよな?」
嬉しそうな顔を隠しきれていない愁夜に私も微笑んで、うん、とこくこく、頷いた。
いつもあんなに自意識過剰で生意気なのに、しょんぼりしちゃって…。
でも、あれも、強がりなのか。
愁夜は、本当に、不器用で、バカで、でも、最高に優しい。
束縛やばそうだし、すぐ嫉妬しそうだし。
おそろいとかいっぱいしたそうだし。
乙女みたいな、そんな愁夜。
でも、なぜか、大丈夫だ、そう思った。