Runaway Love
夕飯を終え、片付けを済ませると、野口くんは、あたしが実家から持って来たシリーズの本を読んでいた。
やっぱり、持っていなかったようで、見せた時には、目を輝かせていたので、あたしは、うれしくなってしまった。
――やっぱり、同じものを好きだというのは、あたしには重要だ。
同じ感覚で話せるのは、たとえ、関係が変わったとしても、大事だと思う。
「茉奈さん、コレ、全部借りても大丈夫ですか」
「あ、でも、図書館から借りてた本もあるでしょ」
「終わりましたけど?」
「え」
あっさりと言われ、あたしは目を丸くする。
結構な量あったと思うのだが……。
すると、野口くんは、口元を上げる。
「そこまで字数は多くなかったんで。茉奈さんは?」
「あ、えっと……やっぱり、時間無くて……」
「そうですか。延長します?」
ネットで、借りる期間はすぐに延長できる。
ただし、予約が入っていなければ、だが。
あたしは少し考えてうなづくが、やり方が良く分からない。
そう言うと、野口くんはあたしと一緒にスマホを見ながら、説明してくれた。
「慣れれば、楽ですから」
「……が、頑張ってみるわ……」
彼は、至近距離で微笑むと、軽くキスをしてきた。
「か、駆くん」
「――可愛いです」
「え、な、何っ……」
思わず挙動不審になりそうな程、甘い声で、囁く。
あたしは、たじろぎながら、何とか話題を変えた。
「そ、それよりっ……本、全部持って行って良いからねっ……」
すると、野口くんは、あっさりと離れる。
「良いんですか⁉」
本の話題は、色気より上らしい。
それに、少しだけホッとする。
「ええ、駆くんが持ってるか、わからなかったから、一応、持って来たのよ」
すると、彼は、うれしそうにうなづいた。
「ありがとうございます」
そして、リュックに、そっと本を入れると、あたしを見て微笑んだ。
――まるで、雑誌のモデルが、カメラ目線で笑顔を作るように、真っ直ぐに。
それに、思わずたじろいでしまう。
――……このコ、本当に、自覚無いわね。
他の女性が見たら、一瞬で見とれるような容姿で、溶けそうな顔で笑う彼に、圧倒されてしまった。
「茉奈さん?」
「――……な、何でもないわよ」
あたしは、動揺を悟られないように顔をそらす。
けれど、すぐに手を伸ばされ、頬を包まれた。
「ごまかさないでください。――オレ、何かしましたか?」
「え、ち、違うわよ!」
不安そうな視線に、あたしは慌てる。
「……たっ……ただ……」
「ただ?」
「……ホントに……その……カッコイイのね、って……」
「え」
野口くんは、あたしの言葉に目を丸くすると、一瞬ののち、真っ赤になった。
「――ど、どうしたんですか、急に……」
視線をさまよわせながら言う彼に、あたしは微笑む。
「真っ赤ね、駆くん」
「と、当然でしょう。……す、好きな女性に、そんなコト言われたら……」
そして、拗ねたように言うと、あたしを抱きしめた。
「――駆くん」
「……離れたくないです」
そう、ポツリとつぶやき、頬を寄せる。
あたしは、なだめるように、彼の背に手を回した。
どう言ったら正解なのか、わからない。
すると、口を開く前に、唇でふさがれた。
すぐに離そうとしたので、あたしは、自分から彼の首に手を回し、舌を絡める。
「――……っ……」
驚いたような声は耳に届くが、目を閉じているので表情まではわからない。
――それで良かった。
キスで、少しでも不安がぬぐえるのなら――それで。
やっぱり、持っていなかったようで、見せた時には、目を輝かせていたので、あたしは、うれしくなってしまった。
――やっぱり、同じものを好きだというのは、あたしには重要だ。
同じ感覚で話せるのは、たとえ、関係が変わったとしても、大事だと思う。
「茉奈さん、コレ、全部借りても大丈夫ですか」
「あ、でも、図書館から借りてた本もあるでしょ」
「終わりましたけど?」
「え」
あっさりと言われ、あたしは目を丸くする。
結構な量あったと思うのだが……。
すると、野口くんは、口元を上げる。
「そこまで字数は多くなかったんで。茉奈さんは?」
「あ、えっと……やっぱり、時間無くて……」
「そうですか。延長します?」
ネットで、借りる期間はすぐに延長できる。
ただし、予約が入っていなければ、だが。
あたしは少し考えてうなづくが、やり方が良く分からない。
そう言うと、野口くんはあたしと一緒にスマホを見ながら、説明してくれた。
「慣れれば、楽ですから」
「……が、頑張ってみるわ……」
彼は、至近距離で微笑むと、軽くキスをしてきた。
「か、駆くん」
「――可愛いです」
「え、な、何っ……」
思わず挙動不審になりそうな程、甘い声で、囁く。
あたしは、たじろぎながら、何とか話題を変えた。
「そ、それよりっ……本、全部持って行って良いからねっ……」
すると、野口くんは、あっさりと離れる。
「良いんですか⁉」
本の話題は、色気より上らしい。
それに、少しだけホッとする。
「ええ、駆くんが持ってるか、わからなかったから、一応、持って来たのよ」
すると、彼は、うれしそうにうなづいた。
「ありがとうございます」
そして、リュックに、そっと本を入れると、あたしを見て微笑んだ。
――まるで、雑誌のモデルが、カメラ目線で笑顔を作るように、真っ直ぐに。
それに、思わずたじろいでしまう。
――……このコ、本当に、自覚無いわね。
他の女性が見たら、一瞬で見とれるような容姿で、溶けそうな顔で笑う彼に、圧倒されてしまった。
「茉奈さん?」
「――……な、何でもないわよ」
あたしは、動揺を悟られないように顔をそらす。
けれど、すぐに手を伸ばされ、頬を包まれた。
「ごまかさないでください。――オレ、何かしましたか?」
「え、ち、違うわよ!」
不安そうな視線に、あたしは慌てる。
「……たっ……ただ……」
「ただ?」
「……ホントに……その……カッコイイのね、って……」
「え」
野口くんは、あたしの言葉に目を丸くすると、一瞬ののち、真っ赤になった。
「――ど、どうしたんですか、急に……」
視線をさまよわせながら言う彼に、あたしは微笑む。
「真っ赤ね、駆くん」
「と、当然でしょう。……す、好きな女性に、そんなコト言われたら……」
そして、拗ねたように言うと、あたしを抱きしめた。
「――駆くん」
「……離れたくないです」
そう、ポツリとつぶやき、頬を寄せる。
あたしは、なだめるように、彼の背に手を回した。
どう言ったら正解なのか、わからない。
すると、口を開く前に、唇でふさがれた。
すぐに離そうとしたので、あたしは、自分から彼の首に手を回し、舌を絡める。
「――……っ……」
驚いたような声は耳に届くが、目を閉じているので表情まではわからない。
――それで良かった。
キスで、少しでも不安がぬぐえるのなら――それで。