Runaway Love
罪悪感に胸がつぶされそうになりながらも、あたしは、岡くんの手から逃れようとする。
けれど、彼は、逃がさないとばかりに、力を込めた。
「お、岡くん――」
「オレが、どれだけ茉奈さんのコト想ってるか、ちゃんと教え込まないといけませんか?」
言い終わらないうちに、岡くんは、至近距離まで顔を寄せてくる。
「ち、ちょっと、岡くん!……風邪、伝染っちゃう……」
そして、あたしの言葉も聞かず、唇を重ねてきた。
軽く、数回。そして、息が上がってきそうになり、口を開けた途端、更に深く重ねて、舌まで入れてきた。
「ンぅ……っ……!」
優しく――でも、激しいキスに、意識が朦朧とする。
耐性の無いあたしには、これだけでもハードルは高い。
なのに、岡くんは、お構いなしにあたしを深く堪能している。
あたしを、しっかりと抱き寄せる腕は、やっぱり力強くて。
徐々に力が抜けていくあたしを、簡単に支えている。
「――好きなのは、茉奈さんです。他の誰でもなく――あなただけです」
唇を少しだけ離し、あたしが息を吸い込むと同時に、岡くんはそうきっぱりと言い切った。
その言葉が届く前に、再び唇を重ねる。
そして、そのままあたしをベッドに横たえ、覆い被さりながらも続けた。
――そんな事……信じられる訳ないでしょ?
そんな思いを、舌で拭い去るように、気が遠くなるほどに、岡くんはあたしに口づけていた。
「――……すみませんでした……。茉奈さん、怒ってます……?」
「――当然でしょ」
ようやく解放され、あたしは、すぐに岡くんに背を向けて布団をかぶった。
彼は、そこに怒りを感じ取ったのか、小さくなって謝ってくる。
「謝るくらいなら、最初からしないでよ」
「でも、茉奈さんが、オレのコト、信じてないみたいだったから……」
「当然でしょ。――大体、アンタと会って、何日だと思ってんのよ」
あの、衝撃的な展開から、まだ数日だ。
人間性を判断するのには、短すぎでしょうが。
「でも、オレ、茉奈さんのコトは、昔から見てましたよ」
あっさりと返す岡くんだが――あたしは、ギクリとする。
「……ちょっ……ア、アンタ、どういう事よ……」
ストーカーまがいの事をあっさりと言うので、恐々振り返った。
「え、だから、中坊の時――茉奈さんと初めて会って、好きになったって言いましたよね?」
「……あたしは、覚えてない」
「――だろうと思います。ほんの一瞬でしたし。だから、奈津美にかこつけて家に遊びに行ったり、バイト先のぞいてみたりしたんですけど……」
「アンタ、それはストーカーって言われても文句言えない」
すると、岡くんは、あたしを布団越しに、そっと抱く。
「でも、そう言われようと、茉奈さんに会いたかったんです。――だから、結婚式の二次会にいた時、チャンスだと思ったんです」
「……ごめん。それこそ、完全に覚えてないの」
ほんの少しの罪悪感に負けそうになり、あたしは抱きしめられたまま縮こまる。
「――結構、ショックですからね?」
ちょっとだけ、意地悪く言う岡くんは、何だか楽しそうだ。
あたしは、顔の上半分だけ布団から出すと、そっと振り返り――ビクリとしてしまう。
幼いけど、整った顔が目の前に現れ、嬉しそうにあたしを見ているのだから。
「――でも、今は、こうやってるんだから、半分は許します」
「……偉そうに……」
「もう半分は、思い出したら、許します」
そう言って、岡くんは、出していたおでこに、軽くキスをした。
けれど、彼は、逃がさないとばかりに、力を込めた。
「お、岡くん――」
「オレが、どれだけ茉奈さんのコト想ってるか、ちゃんと教え込まないといけませんか?」
言い終わらないうちに、岡くんは、至近距離まで顔を寄せてくる。
「ち、ちょっと、岡くん!……風邪、伝染っちゃう……」
そして、あたしの言葉も聞かず、唇を重ねてきた。
軽く、数回。そして、息が上がってきそうになり、口を開けた途端、更に深く重ねて、舌まで入れてきた。
「ンぅ……っ……!」
優しく――でも、激しいキスに、意識が朦朧とする。
耐性の無いあたしには、これだけでもハードルは高い。
なのに、岡くんは、お構いなしにあたしを深く堪能している。
あたしを、しっかりと抱き寄せる腕は、やっぱり力強くて。
徐々に力が抜けていくあたしを、簡単に支えている。
「――好きなのは、茉奈さんです。他の誰でもなく――あなただけです」
唇を少しだけ離し、あたしが息を吸い込むと同時に、岡くんはそうきっぱりと言い切った。
その言葉が届く前に、再び唇を重ねる。
そして、そのままあたしをベッドに横たえ、覆い被さりながらも続けた。
――そんな事……信じられる訳ないでしょ?
そんな思いを、舌で拭い去るように、気が遠くなるほどに、岡くんはあたしに口づけていた。
「――……すみませんでした……。茉奈さん、怒ってます……?」
「――当然でしょ」
ようやく解放され、あたしは、すぐに岡くんに背を向けて布団をかぶった。
彼は、そこに怒りを感じ取ったのか、小さくなって謝ってくる。
「謝るくらいなら、最初からしないでよ」
「でも、茉奈さんが、オレのコト、信じてないみたいだったから……」
「当然でしょ。――大体、アンタと会って、何日だと思ってんのよ」
あの、衝撃的な展開から、まだ数日だ。
人間性を判断するのには、短すぎでしょうが。
「でも、オレ、茉奈さんのコトは、昔から見てましたよ」
あっさりと返す岡くんだが――あたしは、ギクリとする。
「……ちょっ……ア、アンタ、どういう事よ……」
ストーカーまがいの事をあっさりと言うので、恐々振り返った。
「え、だから、中坊の時――茉奈さんと初めて会って、好きになったって言いましたよね?」
「……あたしは、覚えてない」
「――だろうと思います。ほんの一瞬でしたし。だから、奈津美にかこつけて家に遊びに行ったり、バイト先のぞいてみたりしたんですけど……」
「アンタ、それはストーカーって言われても文句言えない」
すると、岡くんは、あたしを布団越しに、そっと抱く。
「でも、そう言われようと、茉奈さんに会いたかったんです。――だから、結婚式の二次会にいた時、チャンスだと思ったんです」
「……ごめん。それこそ、完全に覚えてないの」
ほんの少しの罪悪感に負けそうになり、あたしは抱きしめられたまま縮こまる。
「――結構、ショックですからね?」
ちょっとだけ、意地悪く言う岡くんは、何だか楽しそうだ。
あたしは、顔の上半分だけ布団から出すと、そっと振り返り――ビクリとしてしまう。
幼いけど、整った顔が目の前に現れ、嬉しそうにあたしを見ているのだから。
「――でも、今は、こうやってるんだから、半分は許します」
「……偉そうに……」
「もう半分は、思い出したら、許します」
そう言って、岡くんは、出していたおでこに、軽くキスをした。