幸先輩が甘く迫ってくるのですが。

わ……私、バカじゃない!?!?



何でもかんでも正直に話せばいいというものでは無い。



こういう時は上手い具合に誤魔化せばいいものを、ペラペラ何言っちゃってるのかな?!



「…へぇー。で?ひなみちゃんは、そんな女たらしのプレイボーイに会ってどうしたかったの?」



怒られるかと思ったのに、幸先輩は笑顔を崩さず聞いてきた。



お、怒ってない…?



ならもう、この際に一切合切言っちゃえ…!



「…幸先輩が、本当に噂通りの人なのか知りたかったんです。ちょっとした好奇心というか…」



幸先輩の顔色を伺いながら言うと、先輩は「そっか」と相槌を打って。



「なら、好きなだけ知ればいいよ。俺がどんなやつなのか…ひなみちゃんのカラダに教えてあげる」



「ひゃっ…?!」



私の腕をグイッと引っ張り、そのまま抱えあげられる。



な……なんで?!



体が宙に浮く感覚。



ふわっと浮遊感に襲われたと思ったら、いつの間にかベッドに腰を下ろしていた。



背中に感じる、使われていないシーツ特有の冷たさ。



私に覆いかぶさっている幸先輩の優しさは相変わらずで。




「…大丈夫、安心して。とびきり優しくするから」



耳元で囁かれた甘い低音にゾクリとする。
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