幸先輩が甘く迫ってくるのですが。
「ぷっ…あははっ…!!」
美しい顔を破顔させ、思い切り吹き出した。
「!?」
え、なんで先輩笑って…?
イマイチ状況が理解できなくて、ただ幸先輩が大笑いしているのを眺めてしまう。
「っはぁ〜久しぶりにこんな笑った」
ようやく落ち着いた幸先輩は、後ろにあるベッドに腰掛けて呟いた。
「えっと…私、何かおかしいこと言いました?」
「んーん、言ってないよ。ただ、きみがあまりにも必死だったからつい笑っちゃっただけ」
うーん…先輩のツボがわからない…。
でも、幸先輩が私の行動?で笑ってくれたならいっか。
「きみ、名前なんていうの?」
「へっ…?あ、桜庭ですけど…」
まさか私に興味を持ってくれるなんて思わなかったから、突然名前を聞かれてびっくり。
そしたら「あー違う違う」と幸先輩。
…?何が違うんだろう?
「下の名前。ほら、苗字は上履きに書いてあるでしょ」
私の足元を指さす幸先輩に、「なるほど」と納得。
たしかに書いてあった。
先生たちに書けって言われたんだったのをすっかり忘れてたよ。