りつとるね

鬼の集中レッスン開始

その日、私は学校から一人で帰った。
誰にも会いたくなかった。気分は地を這っていた。
醜態をさらした自分を頭の中でポカポカ殴りながら歩いた。

もうやだ。脳内再生繰り返して自己嫌悪を続ける頭をポイッ!って投げ捨てたい。

――それにしても、律が話しかけてきたの、久しぶりだったな。
ピアノのお稽古辞めて、会う機会が減ったから。

それにアイツ、中学生になったら無口になって、愛想も悪くなった。たまにこっちが話しかけても、不愛想な返事しか返ってこない。
小学校までは普通の男の子で、私とも仲良くしゃべったのに。

中学生になって、女子から「カッコいい」とか言われて、いい気になってんじゃないの? ヤなヤツ。

でもさ、今日は……優しくはなかったけど、一応助けてくれたんだよね?
なんで? あんまり下手で見るに見かねて?
あー、もう知らん。

とにかく、しばらくアイツに会いたくない。泣き顔めっちゃ近くで見られたし。
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