卒業しても、また。


教習予約…。

毎回思うけど、名前だけ書いてあってもどんな先生か分からない。

苗字だけでは男性か女性かも判断できない。





私はあの日から伊崎先生だけを指名し始めた。

チャラかったけれど、やりにくさは無かった。指導も適切だし。


難は無い。





「しかしあれだね、毎日乗っているわけじゃないのに上手いね」
「ありがとうございます」

そう言いながら教習名簿に伊崎先生は印を押す。
今日で10回目。そのうち6回が伊崎先生だ。


「俺のスタンプラリー?」
「……」

スタンプラリーと呼ぶには、ちょっと少ないと思うけれども。

伊崎先生はそう言いながら嬉しそうな表情をしていた。


「しかし…自分上手いからさぁ、もう路上出られるよ。今から出るか!!」
「…私は良いですけど、それは先生的に大問題では?」
「…まぁ、そうだね。そんなことしたら明日からハローワーク通いになるなぁ…」

困った顔で頬を掻きながら小さく呟く。
そんな表情が面白くて、つい笑いが零れた。

「ふふ、ですよね」
「…よっし、冗談はさておき! 今はまだ場内で頑張ろう! じゃあ次は青の2番行こう」
「はい」






伊崎先生。


確かにカッコイイ。優しいし、教え方も上手。
そりゃ女子生徒たちが噂もするよね。


妙に納得した。









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