夏に咲く君に、きっと恋する【完】
淡く思い出される夏
ーーー2050年。
21世紀が半分に達し、都会ではどこを見渡しても近代的な高層ビルに数十年で大きく改良が進んだ最新の自動車ばかりだ。自転車は電動が主流だし、昔には考えもできなかったような、よくわからないいびつな形をした交通手段も増えてきた。
テレビの画面越しに行き交う群衆を見れば、髪も服も、化粧も、何の制約にもとらわれずに各々が個性を光らせている。同時に、抵抗することのできない自分の老いを感じ、いたたまれない気持ちになる。昔は自由なんてなかった、とも思う。
蝉の声と人の声が互いに響き合う大通りには、夏のうだるような暑さにも負けじと、鞄を抱えたサラリーマンが先を急ぐ。
21世紀が半分に達し、都会ではどこを見渡しても近代的な高層ビルに数十年で大きく改良が進んだ最新の自動車ばかりだ。自転車は電動が主流だし、昔には考えもできなかったような、よくわからないいびつな形をした交通手段も増えてきた。
テレビの画面越しに行き交う群衆を見れば、髪も服も、化粧も、何の制約にもとらわれずに各々が個性を光らせている。同時に、抵抗することのできない自分の老いを感じ、いたたまれない気持ちになる。昔は自由なんてなかった、とも思う。
蝉の声と人の声が互いに響き合う大通りには、夏のうだるような暑さにも負けじと、鞄を抱えたサラリーマンが先を急ぐ。
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