夏に咲く君に、きっと恋する【完】
 「……あのさ、もう先生じゃなくていいよ、その柔らかい声で、俺のこと蒼って呼んでよ」

 彼は、再び恥ずかしそうな表情に戻る。

 「ありがとう。蒼、私とはまた違う真っ直ぐな姿勢が、その蒼の涼し気な声が、私は他の誰よりも好き」

 表しきれないほどの嬉しさが、どうしようもないこの感情が、落ちてきた桜の花びらと共に風に舞って、ふと私の目には涙が溢れていた。

 もちろん、溢れてしまった涙は、私だけの秘密で。
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