夏に咲く君に、きっと恋する【完】
 「おばあちゃんはさ、おじいちゃんのどこが好きなの?」

 どこが好き、孫から突きつけられた思いがけない言葉の羅列に動揺した。彼女はなぜそんな事を知りたがっているのか。

 本当に物静かで、自分のことをあまり話さない彼女が。畑に行っていてあまり家にいないことを半ば恨むかのような、それともはっきりとした恋心が芽生えてくる年頃の女の子の素朴な疑問なのか、本心はわからない。

 だが私の中には、確かに一つの夏の記憶が、しっかりと残されていた。

 ーー絶えず燃え続ける太陽の下で、今にも溶けてしまいそうなのに、あの夏、私の心に差し伸べられた真っ直ぐなその言葉は、その思いは、私の心に刻まれ続けている。
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