お願い、成仏してください! ~「死んでも君を愛する」と宣言した御曹司が幽霊になって憑きまとってきます~
エピローグ

***

 一年後。
 私は赤ちゃんを抱いて、着物を着て神社にいた。
 生まれたのは女の子だった。今は祝着(のしめ)を着て不思議そうに周りを見ている。

 カズは紋付袴を着てぎくしゃくと歩いていた。
 私はつい笑ってしまった。なぜか娘も一緒に笑い始める。

「そんなに固くならなくても。この子も笑ってるわよ」
「でも、この子にとって初の神社で、俺にとっても初のお宮参りなんだよ」
 神社を背に、私が娘をカメラに映るように抱っこして、三人で並ぶ。

 正面にはカメラマンとアシスタントがいる。
「パパさん、もっと笑って」
 カメラマンが言う。

「パパって言われた」
 彼はうれしそうに笑う。

「もういい加減に慣れて」
「だけど、うれしいから!」

 これほど喜んでくれる人が夫で良かった。
 自然と、笑みがこぼれる。

「俺も抱っこしたい!」
「どうぞ」
 彼は娘を大事そうに抱きかかえた。

 カメラマンが何回もカシャカシャとシャッターを切る。
 私、撮ってもらった中からベストショットを選べるのかな。

 彼は、とカズを見る。
 全部の写真を部屋に飾ってしまいそう。

 私は彼を見て微笑した。

 神社にはみずみずしい新緑があふれていた。青空が広がる明るい陽射しの中、彼と娘の笑顔はなによりも輝いていた。



* 終 *
< 46 / 46 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:17

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

表紙を見る
私と彼の溺愛練習帳

総文字数/129,571

恋愛(その他)192ページ

表紙を見る
私と彼の溺愛練習帳 番外編

総文字数/8,156

恋愛(その他)23ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop