寄り道
出会い
「早く起きてー!遅れるよー!」
藤波 華 32歳 夫と娘の3人家族。
「ママもっと早く起こしてよ!ゆっくり服選びたかったのに。」
「起こしたよ でも起きなかったでしょ」
最近娘はおしゃれさんになってきて私の選んだ服はほとんど却下。
娘が私のところに来てくれてから、ミニスカートも大好きだったハイヒールも履かなくなった私からしたら娘の姿はとても微笑ましかった。
「ママさんごめん。俺のネクタイと靴下どこ?」
「ごめん忘れてた!」
夫は頼りないがとても優しい人で何よりも私と娘を愛してくれている。
プロポーズをOKした理由も私を愛してくれているからだった。
「「いってきまーす」」
「行ってらっしゃい」
さて私も準備しないと遅れてしまう。
平日は働いている。
高校卒業してからずっとお世話になっている会社だ。
「おはようございます」
「おはよう!今日もよろしくー!」
大橋 楓 仕事がとにかく早い。
私のことを可愛がってくれてよき理解者でもある大先輩だ。
「ねねね!聞いた!?今日から斉木君うちの部署だって!」
「えー!?あのイケおじで有名な!?」
斉木 直人
スポーツ万能 高学歴 高収入 仕事◎ 性格◎ しかもイケメン
ただバツ1の非の打ちどころのないイケおじだ。
「なんでまたイケおじさんが私たちの部署に?」
「来月課長が辞めるでしょ?それで仕事ができる斉木君をって部長が。引継ぎもあるし早めになんだって。酷な話だね。」
そうだ。課長辞めるんだった。
私のところの課長は口下手な人で、言い方が少々キツく感じる。
でも言っていることは正しいし、優しさが見えるときもあった。
若い子にはそれは届いていなかったようで自主退職という形になってしまった。
「ちょっとみんなこっち向いてくれー。今日からこの部署に来てくれた斉木君だ。」
「斉木直人です。社内で会ったことがある方もいると思いますが、改めてよろしくお願いします。」
『カッコイイ! 今日から一緒に仕事できるなんて最高! 』
若い子からも人気なのね。素晴らしいわ。
くっきりとした二重。 綺麗に通った鼻筋の高い鼻。
47歳には見えないスーツを着ていても分かる鍛えられているであろう体。
そりゃ若い子からもモテる。
でもなんでバツ1なんだろう。こんなハイスぺイケおじ奥さんが離さなかっただろうに。
まぁ私には関係のないことだ。
「まぁもう50近いってのに若い子にもモテるとはね。さー!仕事仕事!」
この日は斉木さんが異動してきたこと以外特に変わりなく時間が流れていった。
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