寄り道
お昼の時間になった。
私たちは忍び足で会議室に入った。
何から話せばいいのか分からない。
もうあの件には触れない方がいいのか。
触れた方がいいのか。
お昼までの長い時間考えとけばよかったものを…。
数時間前の私を恨む…。
「あの!藤波さんに謝りたくて…。
ずっとこの1ヶ月謝ろうと思ってたんですけどタイミング掴めなくて…。本当ごめん。」
この人は本当に優しい。というかお人好しというか。
1ヶ月も悩ませていたとは…。
こちらが申し訳ない。
「いいんですよ。斉木さんが私に対して言ったことは間違ってません。ただ教育の方針は変えた方がいいと思います。後輩ちゃんたちのためにも。」
「そーだそーだ!良くないぞー!斉木ー!」
「本当に申し訳ないです。それもですけどもっと謝らないといけないのは…。僕を庇ってくれたんですよね?なのに僕はあんなことを…。」
え?なんで知ってるの?誰かが言った?あの内容を?!本人に?!
「なななななんでー!アンタがーそれを知ってんのよ!」
私は首を縦にブンブンふって斉木さんを見た。
「昨日、後輩君と飲みに行ったときに全部聞きました。
内容が内容だったので後輩君も言いづらかったみたいでずっと言えなかったって。」