寄り道
7年後
あれから7年がたった。
あの日から斉木さんとは2人で会ったことは1度もない。
娘は無事に高校を入学し卒業。
隣の県へ就職が決まり1人暮らしをしている。
娘が家を出る日私と2人になるタイミングがあった。
「ママ。今まで本当にありがとう。たくさん反抗してごめんね。ママは私に成功も失敗も両方教えてくれた。全部私のしたいようにさせてくれた。だから私はもう大丈夫だよ!次はママの番だよ!ママがしたいようにする番!パパがしてること私気づいてたよ。もうあんな男捨てちまいな!彼氏出来たら私にも会わせてよね!」
泣きすぎて自分が何を言ったか覚えていない。
元夫の行いが娘にバレていたとは思ってもみなかった。
これで心置き無く離れられると心が軽くなったのを覚えている。
元夫は何も変わらなかった。
ネクタイ、靴下、Yシャツが収納されている場所くらいは覚えてくれたがもう遅い。
「サインしてください。」
「…。分かった。」
すんなりサインしてくれたが手が震えていたのを覚えている。