寄り道

散歩がてら歩いて帰るのが好きだ。

娘が大きくなったらどんな彼氏を連れて来るのだろう。

老後の私たち夫婦はどんな感じなんだろう。

とかいろんな事を考える。

でも今日は違った。

大橋さんの言葉が頭から離れない。

゛斉木くんの隣行きたいでしょ゛

なんでこんなに引っかかるのだろうか。

このモヤモヤは何度か経験したことのあるモヤモヤだと気づいてる。

でもそれを認めてしまったら全て崩れてしまう。

この感情が溢れてしまう前に蓋をしないと。

「藤波さん!」

あー。何でかなぁ。何でそういうことするのかな。

「こんな時間に女性1人は危ないですよ!家まで送ります。」

「何してるんですか。斉木さんの歓迎会ですよ。主役が二次会行かないでどうするんですか。」

走って来てくれたのだろう。

息を切らしている。

「みんな酔ってて分かってないから大丈夫ですよ。信号渡って行く藤波さんが見えたから1人で帰らすのは危ないと思って。」

「ありがとうございます。じゃあ家の近くのコンビニまでお願いします。」

違和感を持ちつつも仕事の話や、子どもの話をしたり。

仕事終わりにジムに行っていること。

甘いものが好きなこと。いろんな話をした。
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