魔女令嬢アリスの100日旅~婚約破棄だと勘違いした殿下が、心配すぎて私に内緒でついて来てしまったそうで~
一つは、私が優秀な子を産む魔女の娘であるから。
そしてもう一つは、国王陛下がニコラの婚約者に直接アリスを指名したから。
国王陛下がどうして私をニコラ殿下の婚約者にしたのか、いまだにわからない。
だけど、陛下の証書が届いたのは去年の夏頃であり、不思議なことにお母様のクルーズトレイン乗車の時期と一致する。
何か二つには関係があるんじゃないだろうか、と思った時、ふとお父様の顔が視線に入った。
目の下にはクマができており、唇もがざがさとして髪も乱れている。
まずはお父様に休んでもらわなければと、声をかける。
「お父様、私はここにいますから。一度休んでください」
「いや、お前こそ休め。私は大丈夫だ」
そこまで聞いて、私はハッとした。
お父様はお母様の傍に戻ってその手を握り、もう片方の手をお母様の頬に添えている。
きっとお父様はここでまだ一緒にいたいんだと感じた私は、お父様にそっと毛布をかけた。
「せめて少しくらいは眠ってくださいね」
「ああ」
こちらを振り返らずに返事をしたお父様の声は少し震えていた。
私が自室に戻った頃には少し雨が止み始めていた。
そしてもう一つは、国王陛下がニコラの婚約者に直接アリスを指名したから。
国王陛下がどうして私をニコラ殿下の婚約者にしたのか、いまだにわからない。
だけど、陛下の証書が届いたのは去年の夏頃であり、不思議なことにお母様のクルーズトレイン乗車の時期と一致する。
何か二つには関係があるんじゃないだろうか、と思った時、ふとお父様の顔が視線に入った。
目の下にはクマができており、唇もがざがさとして髪も乱れている。
まずはお父様に休んでもらわなければと、声をかける。
「お父様、私はここにいますから。一度休んでください」
「いや、お前こそ休め。私は大丈夫だ」
そこまで聞いて、私はハッとした。
お父様はお母様の傍に戻ってその手を握り、もう片方の手をお母様の頬に添えている。
きっとお父様はここでまだ一緒にいたいんだと感じた私は、お父様にそっと毛布をかけた。
「せめて少しくらいは眠ってくださいね」
「ああ」
こちらを振り返らずに返事をしたお父様の声は少し震えていた。
私が自室に戻った頃には少し雨が止み始めていた。