ミューズな彼女は俺様医師に甘く奏でられる
このベリカバーガーやソーダもピンク色しているからこそ人々の注目を集め、手に取る切っ掛けとなる。
私が母譲りの容姿を利用するのも同じ事。
「よし、食う前に写真撮るか?」
「えぇーーあなたも映る気?」
慎太郎が隣に座り、インカメラで前髪と表情を調整した。
「執刀医とランチってハッシュタグつければいい」
「……そんなタグ、誰が使いたがるのよ?」
「あはは、確かに誰も使わねぇな」
シャッターは連写され、二人で段々と笑顔になる過程が記録されていく。
■
腹ごしらえを済ませ、アミューズメント施設へ。クレーンゲームの前で足を止める。四方から様々な音楽が聞こえる中、馴染みのあるメロディーがここからしたから。
「ん? ぬいぐるみが欲しいのか?」
「チャルダッシュ」
「はい?」
「チャルダッシュが聞こえた」
大音量に囲まれて声が通りにくい。自然と距離が近くなる。
「せっかくだし、やってみるぞ。どれが欲しい?」
正直どれも欲しくなかったが、得意気に言ってくる彼に適当な犬を指差す。ベリカ犬という御当地キャラらしい。
「取れたら病室に飾ろうな」
「そういう事は取れてから言ったら? 第一、まだ入院するか決めてない」
一回目のチャレンジが掠りもしなかったことを鑑み、長い戦いとなりそうな予感がする。言わずもがな、慎太郎は負けず嫌い。私の徴発で闘志に火がつき、前のめりになる。
私としては延々とチャルダッシュを聞くのもやぶさかでないが、放っておいたらお金がどんどん溶けていく。
「私、横から見てる。人形の上にアームが来たら教えるよ」
「おう! 頼む! ミッションの成功の鍵は俺達の連携に掛かってるぞ」
ちなみに彼はベリカ大学病院でスーパードクターと名高い。そんな人物がぬいぐるみ一つで目をぎらつかせ、必死になるなんて。
私が母譲りの容姿を利用するのも同じ事。
「よし、食う前に写真撮るか?」
「えぇーーあなたも映る気?」
慎太郎が隣に座り、インカメラで前髪と表情を調整した。
「執刀医とランチってハッシュタグつければいい」
「……そんなタグ、誰が使いたがるのよ?」
「あはは、確かに誰も使わねぇな」
シャッターは連写され、二人で段々と笑顔になる過程が記録されていく。
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腹ごしらえを済ませ、アミューズメント施設へ。クレーンゲームの前で足を止める。四方から様々な音楽が聞こえる中、馴染みのあるメロディーがここからしたから。
「ん? ぬいぐるみが欲しいのか?」
「チャルダッシュ」
「はい?」
「チャルダッシュが聞こえた」
大音量に囲まれて声が通りにくい。自然と距離が近くなる。
「せっかくだし、やってみるぞ。どれが欲しい?」
正直どれも欲しくなかったが、得意気に言ってくる彼に適当な犬を指差す。ベリカ犬という御当地キャラらしい。
「取れたら病室に飾ろうな」
「そういう事は取れてから言ったら? 第一、まだ入院するか決めてない」
一回目のチャレンジが掠りもしなかったことを鑑み、長い戦いとなりそうな予感がする。言わずもがな、慎太郎は負けず嫌い。私の徴発で闘志に火がつき、前のめりになる。
私としては延々とチャルダッシュを聞くのもやぶさかでないが、放っておいたらお金がどんどん溶けていく。
「私、横から見てる。人形の上にアームが来たら教えるよ」
「おう! 頼む! ミッションの成功の鍵は俺達の連携に掛かってるぞ」
ちなみに彼はベリカ大学病院でスーパードクターと名高い。そんな人物がぬいぐるみ一つで目をぎらつかせ、必死になるなんて。