ミューズな彼女は俺様医師に甘く奏でられる
「そういえばーーアメリカって?」
「あぁ、先輩が帰国してきたんだ」
私は耳がいい。慎太郎の声音が少し変わったのを聞き逃さない。
「どうかしたの?」
「いや、こんな時期に先輩が帰国してくるなんて珍しいと思ってな。事前連絡も無かったし」
「もしかして、手術しに来たんじゃない?」
「桜以外のVIP患者は今のところ入院してないはずだが……先輩がわざわざ帰国して執刀するような症例も抱えていない」
顎に手をやり、唸る。合点がいかない様子。
「先輩医師が帰ってきたら不都合でもあるの?」
「ある!」
きっぱり言い切った。私の肩を上下に揺らし、訴えを続ける。
「先輩は腕はいいが、どうにも女癖が悪い。ここで働いていた時、看護師に手を出しまくっていた。そんな先輩が桜を見たらどうなると思う?」
「どうなるって……さぁ?」
「絶対気に入るに違いない! 桜は可愛いーーいやキレイだし、口説くに決まってる。いいか、桜? 先輩がここに訪ねてきてもドアを開けるんじゃないぞ! 一人で対応せずマネージャーを呼べ」
万年筆を大切にしている割に、先輩医師への信頼が全く無い。
「ねぇ、慎太郎。何を心配しているのか知らないけど、私はあなた以外にこんな真似を許したりしないわ」
「ふむ、桜はデレると男前になるタイプなんだな。今の言葉で俺の乙女心がキュンとした」
宝物を扱うよう、そっと抱き寄せられる。
「桜の心変わりを疑っていると聞こえたなら謝る、すまなかった、ごめんなさい。俺は単純に桜を取られたくないだけなんだ。先に桜を見付けたのは先輩だから」
「慎太郎……」
「悪い、少しだけ強く抱き締めさせて。どうも胸騒ぎがするんだよな」
私より大きな身体で不安がられると、どう対処すればいいのか迷う。
迷って、迷って、彼にキスをする。
「桜!」
「え、ちょ、ちょっと待ってーーんっ、んん!」
「あぁ、先輩が帰国してきたんだ」
私は耳がいい。慎太郎の声音が少し変わったのを聞き逃さない。
「どうかしたの?」
「いや、こんな時期に先輩が帰国してくるなんて珍しいと思ってな。事前連絡も無かったし」
「もしかして、手術しに来たんじゃない?」
「桜以外のVIP患者は今のところ入院してないはずだが……先輩がわざわざ帰国して執刀するような症例も抱えていない」
顎に手をやり、唸る。合点がいかない様子。
「先輩医師が帰ってきたら不都合でもあるの?」
「ある!」
きっぱり言い切った。私の肩を上下に揺らし、訴えを続ける。
「先輩は腕はいいが、どうにも女癖が悪い。ここで働いていた時、看護師に手を出しまくっていた。そんな先輩が桜を見たらどうなると思う?」
「どうなるって……さぁ?」
「絶対気に入るに違いない! 桜は可愛いーーいやキレイだし、口説くに決まってる。いいか、桜? 先輩がここに訪ねてきてもドアを開けるんじゃないぞ! 一人で対応せずマネージャーを呼べ」
万年筆を大切にしている割に、先輩医師への信頼が全く無い。
「ねぇ、慎太郎。何を心配しているのか知らないけど、私はあなた以外にこんな真似を許したりしないわ」
「ふむ、桜はデレると男前になるタイプなんだな。今の言葉で俺の乙女心がキュンとした」
宝物を扱うよう、そっと抱き寄せられる。
「桜の心変わりを疑っていると聞こえたなら謝る、すまなかった、ごめんなさい。俺は単純に桜を取られたくないだけなんだ。先に桜を見付けたのは先輩だから」
「慎太郎……」
「悪い、少しだけ強く抱き締めさせて。どうも胸騒ぎがするんだよな」
私より大きな身体で不安がられると、どう対処すればいいのか迷う。
迷って、迷って、彼にキスをする。
「桜!」
「え、ちょ、ちょっと待ってーーんっ、んん!」