ミューズな彼女は俺様医師に甘く奏でられる
桜のカルテを確認し、息を吐く。
「これから先のキャリアを思えば、彼女に関わるべきじゃない。分かるだろう? 手術は俺に任せろ」
「先輩が俺の為に言ってくれてるのは有り難いです。だけど、桜にヴァイオリンをまた弾かせてやると約束しました」
「ヴァイオリンを弾かせてやれても、披露する場所は用意してやれるのか? お前が執刀する事で彼女の求心力が無くなり、スポンサーが離れたらどうする? 伊集院桜レベルのコンサートとなれば、とてつもない額が動く」
「そ、それは……」
「だからと言って、不仲と有名な実家に援助を頼むのは難しそう。勘違いするな、お前は腕を治せても、ヴァイオリニストの彼女を救ってはやれないんだ。お前はそれでいいのか?」
「良くは、ないですが」
俺は桜を弾けるだけじゃなく、スポットライトの下へ帰したい。
伊集院家の資金援助は現実的じゃないと言われたが、俺としては話し合いをする価値が充分あると思う。
「あんな鮮明にパパラッチされるなんて、お前達は最初から狙われてたんだよ」
「狙われていた? 取材を制限されてるエリア以外に連れ出せば、裏をかけると思ってーー」
「その裏をかかれた。あのキス写真なんて隠し撮りにしてはアングルが決まり過ぎてたしな。
ていうか、伊集院桜、かなり可愛いな? ハンバーガーとソーダで喜ぶなんて、おじさんがマンション一頭買ってあげたくなっちゃう」
先輩の悪癖は健在みたいだ。
「先輩、恋人は?」
「アメリカの女性は美しくて魅力的だが、気が強い。やはり大和撫子がいいなぁー、という事で伊集院桜ちゃんを紹介して?」
「は? 嫌に決まってるでしょ」
「これから先のキャリアを思えば、彼女に関わるべきじゃない。分かるだろう? 手術は俺に任せろ」
「先輩が俺の為に言ってくれてるのは有り難いです。だけど、桜にヴァイオリンをまた弾かせてやると約束しました」
「ヴァイオリンを弾かせてやれても、披露する場所は用意してやれるのか? お前が執刀する事で彼女の求心力が無くなり、スポンサーが離れたらどうする? 伊集院桜レベルのコンサートとなれば、とてつもない額が動く」
「そ、それは……」
「だからと言って、不仲と有名な実家に援助を頼むのは難しそう。勘違いするな、お前は腕を治せても、ヴァイオリニストの彼女を救ってはやれないんだ。お前はそれでいいのか?」
「良くは、ないですが」
俺は桜を弾けるだけじゃなく、スポットライトの下へ帰したい。
伊集院家の資金援助は現実的じゃないと言われたが、俺としては話し合いをする価値が充分あると思う。
「あんな鮮明にパパラッチされるなんて、お前達は最初から狙われてたんだよ」
「狙われていた? 取材を制限されてるエリア以外に連れ出せば、裏をかけると思ってーー」
「その裏をかかれた。あのキス写真なんて隠し撮りにしてはアングルが決まり過ぎてたしな。
ていうか、伊集院桜、かなり可愛いな? ハンバーガーとソーダで喜ぶなんて、おじさんがマンション一頭買ってあげたくなっちゃう」
先輩の悪癖は健在みたいだ。
「先輩、恋人は?」
「アメリカの女性は美しくて魅力的だが、気が強い。やはり大和撫子がいいなぁー、という事で伊集院桜ちゃんを紹介して?」
「は? 嫌に決まってるでしょ」