ミューズな彼女は俺様医師に甘く奏でられる
「アメリカでの彼女はアイドルじゃなくヴァイオリニストの側面が強い。騒がれてはいるものの、桜の恋に好意的な意見が多そう。
 ゲームセンターでぬいぐるみを取って貰ってエキサイティングするなんて人間らしいとさ。はは、お前はクレームゲームが下手だとも」

「余計なお世話です! あのゲームセンター、アームが弱いんですよ!」

「ここに並べてある犬はひょっとして?」

 棚に並ぶのはベリカ犬。ざっと二十体あり、壮観だ。限定ベリカ犬もコンプリートした。

「えぇ、仕事帰りにゲーセンに通い詰めて獲得しました。実は桜には練習しているのを内緒にしていて、次に行った時に驚かそうと! 俺、誇張抜きでクレーンゲームが一番上手い外科医ですよ!」

 病院のホームページにある医師紹介項目に特技がクレーンゲームと書きたいくらい。

「お前、意外といじらしいんだな。氷みたいなミューズが絆された理由が分かった気がするわーーはぁ、仕方ない、慎太郎の恋を応援してやるよ。で、俺は何したらいい?」

 何はともあれ先輩の協力を取り付けられたのは大きい。

「実は……」

 俺は計画の全貌を打ち明けた。
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