ミューズな彼女は俺様医師に甘く奏でられる
6・別離
■
慎太郎が出て行き暫くすると、エミリーが駆け込んで来た。ドアを開けるなり怒鳴りつけてくる。
「桜! あなた、騙されてるわよ! 何処が良いのよ、あんな男?」
丸めた雑誌で壁を叩く。私は事態が飲み込めず、麦茶を勧めた。
「どうしたの? エミリー」
「どうもこうもないわ! これを見て!」
差し出したペットボトルを横へ払い、ベッドに片足を乗せた姿勢で紙面を見せてきた。
「これって……この間の」
「ドクターに無理やり連れて行かれたんでしょ? 桜はこんな安っぽい女じゃないの、クールでみんなの羨望を浴びなきゃいけないのよ!」
「無理やりなんて……エミリー、痛い、少し離れてよ。きちんと話すから」
ぐいぐい押されて、記事を鼻先まで付けられる。
結果的に慎太郎との関係を彼女に黙っていた事になるが、話せばこうなると分かっていたからだ。
エミリーは男性関連のスキャンダルは起こしてくれるなと常々言っており、露見すれば男性ファンを失うリスクを聞かせる。
幸い、慎太郎に会うまで恋愛に興味がなかった為、パパラッチされる事は無かった。
「彼とお見合いした時はそんな感じじゃなかったじゃない? あぁ、油断してたわ」
「エミリーは慎太郎と付き合うのは反対? 彼は誠実で良い人よ」
「誠実? 片翼のミューズのハッシュタグの件は覚えてる? タグの作成者は真田慎太郎、これが病院側の調査結果」
エミリーは封筒を渡してきた。一旦、私から離れてソファーへ踏ん反り返る。
「資料によると投稿場所が慎太郎の診察室というだけで、彼がやったとまでは言い切れないわ」
「ドクターと寝たの?」
「え?」
「その歳までまともに恋愛してこなかったから、こんな簡単に騙されるのよ」
慎太郎が出て行き暫くすると、エミリーが駆け込んで来た。ドアを開けるなり怒鳴りつけてくる。
「桜! あなた、騙されてるわよ! 何処が良いのよ、あんな男?」
丸めた雑誌で壁を叩く。私は事態が飲み込めず、麦茶を勧めた。
「どうしたの? エミリー」
「どうもこうもないわ! これを見て!」
差し出したペットボトルを横へ払い、ベッドに片足を乗せた姿勢で紙面を見せてきた。
「これって……この間の」
「ドクターに無理やり連れて行かれたんでしょ? 桜はこんな安っぽい女じゃないの、クールでみんなの羨望を浴びなきゃいけないのよ!」
「無理やりなんて……エミリー、痛い、少し離れてよ。きちんと話すから」
ぐいぐい押されて、記事を鼻先まで付けられる。
結果的に慎太郎との関係を彼女に黙っていた事になるが、話せばこうなると分かっていたからだ。
エミリーは男性関連のスキャンダルは起こしてくれるなと常々言っており、露見すれば男性ファンを失うリスクを聞かせる。
幸い、慎太郎に会うまで恋愛に興味がなかった為、パパラッチされる事は無かった。
「彼とお見合いした時はそんな感じじゃなかったじゃない? あぁ、油断してたわ」
「エミリーは慎太郎と付き合うのは反対? 彼は誠実で良い人よ」
「誠実? 片翼のミューズのハッシュタグの件は覚えてる? タグの作成者は真田慎太郎、これが病院側の調査結果」
エミリーは封筒を渡してきた。一旦、私から離れてソファーへ踏ん反り返る。
「資料によると投稿場所が慎太郎の診察室というだけで、彼がやったとまでは言い切れないわ」
「ドクターと寝たの?」
「え?」
「その歳までまともに恋愛してこなかったから、こんな簡単に騙されるのよ」