ミューズな彼女は俺様医師に甘く奏でられる
「おい、桜! 冗談だろ? おい! しっかりしろよ!」
取り乱しつつ、止血処置をする。慎太郎はやっぱりお医者様なんだなぁ、ぼんやり思う。
痛みは最初だけで後は意識が遠のくだけ。慎太郎の声が色が霞む世界にずっと響く。
「なぁ、桜? 聞こえてるか? すぐ救急車が来るからな」
返事をしたいけれど目が開かない。血液を失っているはずなのに身体が重くて、寒い。
また慎太郎に温めて貰いたいと手を必死に動かす。
「ん? 桜、何?」
慎太郎は私の指を自分の顔へ添えさせた。
あぁ、このシャープな輪郭が好き、通った鼻筋も時々意地悪を言う唇も好き、何より強い眼差しが好き。
こんな事になるんだったらプロポーズをさっかり受ければ良かった。
「先輩! 救急車はまだですか? 桜が! 桜はこのままじゃ……桜、しっかりしろ、俺が助けてやる、絶対助けてやる! だから諦めるな、目を開けろ、開けるんだ!」
励まされて薄っすら開ける。指先を濡らすのが慎太郎の涙なのか、自分の血なのか識別がつかない。目の前が真っ暗で。
ーーサイレンの音がする。
取り乱しつつ、止血処置をする。慎太郎はやっぱりお医者様なんだなぁ、ぼんやり思う。
痛みは最初だけで後は意識が遠のくだけ。慎太郎の声が色が霞む世界にずっと響く。
「なぁ、桜? 聞こえてるか? すぐ救急車が来るからな」
返事をしたいけれど目が開かない。血液を失っているはずなのに身体が重くて、寒い。
また慎太郎に温めて貰いたいと手を必死に動かす。
「ん? 桜、何?」
慎太郎は私の指を自分の顔へ添えさせた。
あぁ、このシャープな輪郭が好き、通った鼻筋も時々意地悪を言う唇も好き、何より強い眼差しが好き。
こんな事になるんだったらプロポーズをさっかり受ければ良かった。
「先輩! 救急車はまだですか? 桜が! 桜はこのままじゃ……桜、しっかりしろ、俺が助けてやる、絶対助けてやる! だから諦めるな、目を開けろ、開けるんだ!」
励まされて薄っすら開ける。指先を濡らすのが慎太郎の涙なのか、自分の血なのか識別がつかない。目の前が真っ暗で。
ーーサイレンの音がする。