そんなの、嘘。

「ん?何、その表情」

「いやー、和音ちゃん。みんなそれ、もう終わってるよ」

「げっ、そうなの?」



やっこ曰く、他のみんなは進級制作に集中出来るように、細々とした課題は先に済ませたらしい。

私のようにあっちもこっちも同時進行している人はいないのかもしれない。



「まぁ、和音ちゃんはそれが出来る人ってことだね」
と、やっこは苦笑いする。



嫌味か。

放っておいてくれ。



こっそり毒づいていると、やっこは私に近寄り、声をひそめてこう言った。



「おじいちゃんの三回忌って前に話してたけれど、それって地元に帰るの?」

「え?……うん。それがどうかしたの?」



やっこは考える仕草をしてから。



「和音ちゃんの高校の制服って、男子もブレザー?」
と、慎重に尋ねてくる。



ゾッとしてしまった。



「まさか」
と言って、その後の言葉が続かない。



「深緑色のブレザーじゃない?」

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