そんなの、嘘。
『和音ちゃんに憑いている人さ、早く気づいてほしいんだと思うよ?ここに居るぞーって全力でアピールしているみたいだし』
やっこは何でもないことのように、サラッと言う。
『地元に帰るの、いつ?』
「もう少ししたら。三月末日に帰省するの」
『迷惑じゃなかったら、私、和音ちゃんが帰省するまでそばに居ようか?』
やっこの突然の申し出に、私は何度も何度も頷いた。
その日のうちに、やっこはアパートの部屋に来てくれた。
「狭いところだけど」
と、やっこを迎えると、やっこはニカッと笑って、
「合宿みたいじゃない?」
と、楽しそうに部屋に上がった。
「……さてさて。和音ちゃん、晩ごはん食べた?」
「え?ううん。まだ」
「私、材料を買って来たよ。食べられる?焼きそば」
うん、と返事する代わりにお腹がキュルンと鳴く。
ゲラゲラと笑うやっこにつられて、私も大口を開けて笑ってしまった。