そんなの、嘘。
「なんで風太って人だと思うの?」
やっこが夜空から私に視線を移した。
「仲良かったんだ。……ってか、私は好きだった。……ううん、今でも好き」
「おぉっ」
「仲良かったし、高校生の時はさ、いっつも一緒に居た」
「彼氏だったの?」
「ううん。ケンカ友達みたいな関係。私がぼっちでいたから、風太が私のそばに居てくれた、みたいな?」
意地悪なことも言われるけれど。
そばに居てくれるのは。
風太だけだった。
「優しい人なんだね?」
やっこが「いいなぁ、羨ましい」と、目を細める。
「でもさ、高校卒業してから、急に連絡が取れなくなって」
「急に?」
「そう。また遊ぼうって約束までしてたのに。メッセージ送っても、既読にもならないの」
やっこは「そっか」と言いつつ、じっとある一点を見つめる。
「えっ、何?何見てんの?」
少し怖くなり、やっこの視線を追いかけるようにして、私も見る。
……ただの壁しかない。