そんなの、嘘。
中村さんは私の荷物を持ってくれる。
「部屋の前まで運びます」
と、歩き出した。
中村さんは二階にある、私の部屋の前まで来ると、丁寧に荷物を置いた。
「ねぇ、どんな霊なの?」
勇気を出して聞いてみる。
中村さんは困ったような表情で、
「うーん、どんな霊かと聞かれても……」
と言ってから、
「せやけど、そんなに悪い霊にはみえませんけど」
と、また私の後ろを見る。
中村さんは更に困った顔をして、
「まぁ、イタズラ好きそうですわ」
とだけ、答えた。
やっこは、イケメンって言った。
中村さんは、イタズラ好きって言った。
……ドクン、ドクン。
また鼓動が速くなる。
「風太じゃないよね?」
私は久しぶりの自分の部屋に入り、スマートフォンを操作しつつ、呟いた。
風太の連絡先を見る。
どうせメッセージ送っても、既読はつかない。
電話をかけても、繋がらない。
でも。