そんなの、嘘。

第二話


翌日の四月一日。

朝食の席で。



「風太?」
と、母が小首を傾げている。




「ほら、高校が一緒だった男子」
と、私が言うと、
「あー、あー!いた、いたね!?あんたの唯一の友達の風太くん!」
なんて、人の傷をえぐるような言い方で、母は思い出した。



「その風太くんがどうかしたの?」

「ちょっと探したいんだよね。連絡がつかなくて。おじいちゃんの法要が終わったらさ、私ちょっと出かけてもいい?」

「いいけど……。探すってどうすんの?SNSとか?」



私はお味噌汁を飲みつつ、首を振った。



「あいつのSNS、全然更新されてない」

「そうなんだ?」

「だから、あいつん家に行こうって思ってる」

「えっ!?」



母は驚いて、お箸でつまんでいたたくあんをテーブルに落とした。



「家に行ってどうすんの!?あちらのご家族に迷惑じゃない?」

「ちゃんと謝るから……。とにかく、生きているかどうか、その生存確認的な?」

「何それ」




母は呆れたように呟いて、たくあんをぼりぼり食べた。

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