そんなの、嘘。
隣町は。
私の住む町よりも、便利そうな環境だった。
駅のすぐそばに大型スーパーがあるし。
電車もバスも、交通の便利が良さそうだし。
人も多いから、町が明るい気がした。
北田家は。
駅から少し歩いたところの、新しいマンションにあるみたいだった。
(この道を風太は通って、学校に来ていたのかな)
家が建ち並ぶ道。
植木鉢が置いてある。
花達の色が爽やかで。
春を感じる。
川が流れていて。
そこには桜が咲いていた。
橋を渡り、マンションに着いた。
オートロックのマンションだったので、一階のエントランスから北田家の部屋番号を押し、応答を待つ。
『……はい、どちら様?』
女性の声だった。
「あの、私は北田 風太くんの同級生の、小島 和音と申します」
『……っ』
「風太くんにお会いしたいんですけど」
『……』
返事がなくて、戸惑っていると。