そんなの、嘘。
第三話
高校生の時。
風太に聞かれたことがある。
『お前って好きな奴いんの?』
恥ずかしさと照れ隠しで、
『いない』
と、答えた。
風太は『ふぅーん』と言ってから、
『まぁ、オレ以外にお前のそばに居る奴いねぇもんな』
と、笑っていた。
……あの時。
友達がいないことをまた笑っているんだ、と思ったけれど。
傷ついたりなんかしなかった。
だって、風太がいてくれたら。
私はそれで良かったから。
「風太、何か話してよ。また私のことをバカにしてもいいからぁ……」
涙で顔がぐしゃぐしゃになる。
写真の中の風太は。
顔色ひとつ変えずに、そこに居る。
その時。
スマートフォンが振動した。
取り出して画面を見ても、着信の知らせは表示されていない。
「何?」
風太の写真を見る。
(もしかして……、風太?)