そんなの、嘘。
全部嘘だって。
イタズラっぽいその笑顔のまま。
わたしのこと、笑ってくれてもいいから。
「風太ぁ……」
ザー、ザー、ザー……。
雑音が。
うるさい。
「そばに居てくれなくちゃ、やだよ……。風太なんて、嫌い……」
嘘。
そんなの、嘘。
でも。
エイプリルフールだから。
素直になれなくても、許してよ。
『……ずっと、そばに居るよ』
「えっ?」
雑音の間で。
確かに聞こえた。
ブツッ!!!
スマートフォンの向こうで、雑音すら消えた。
耳元には、無音の世界。
(嘘つき……)
そばに居ないじゃん。
遠いよ。
風太のいる世界と、私のいる世界は。
そばにあっても、遠いんだよ。
「ねぇ……」
耳からスマートフォンを離した。
「好きだよ」
ずっと。
言いたかった。