そんなの、嘘。
食堂自体はまだ開いていなかったけれど、食堂の中の購買は開いていて。
アイスだけ買って、私達のゼミの教室に向かう。
「進級制作、もう終わった?」
と、やっこがアイスを頬張りつつ尋ねてくる。
「ほとんど。でもマークの課題がまだあんまり終わってない」
「あー、マークね。どんなの選んだの?」
「星に見えなくもないやつ。マークを星っぽく描いてさ、夜空にするつもり」
「それ、危険かも」
やっこは顔色ひとつ変えずに言う。
「星に見立てて夜空を描くとか、みんなが発想しそうじゃない?もっと独創的なほうがいいよ。発想力に点数つきそうなやつ」
「なるほど、独創性って大事だよねー」と、適当に相槌を打ちつつ、内心では描きたいように描かせてくれよ、と毒づく。
やっことしばらく他愛のない話をしていて、少し沈黙があった後。
やっこがふいに言った。
「和音ちゃんの知り合いって、誰か亡くなった人っている?」
「……えっ?」