そんなの、嘘。

突然のことに、体が固まってしまう。



「あ、ごめん。私、ちょっとだけ霊感あるんだよね」

「えっ!?」

「和音ちゃんの親しい人で、亡くなった人っている?」



痛いくらいの鼓動の音を感じて。

私は恐る恐る、
「……おじいちゃんが亡くなってて。もうすぐ三回忌があるんだけど」
と、伝える。



(おじいちゃん、まさか、私に憑いていたりするの!?)




ビクビクしつつ、やっこの言葉を待つ。



「いやぁ、おじいちゃんってほどの歳じゃなさそう。同年代なんだよね、和音ちゃんのそばにいる人」



「えっ!?」



そんなの、思い当たる人なんかいない。





「怖い怖い怖い……っ!ちょっとぉ、やっこぉ、やめてよー!」

「いや、別に怖くない感じの人だけど」

「やだやだやだ、幽霊憑いてんの!?私に!?」



やっこは曖昧に笑った。



「否定してよおおぉぉおっ!」






……誰かに違うって言ってほしい。

こんな話、聞いてくれる人。

ひとりしか思い当たらない。

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