そんなの、嘘。
口が悪くてもいいよ。
憎まれ口を言われることは慣れているから。
もっと私のことかまってよ。
そばにいてよ、風太。
「……夢」
目が覚めて。
課題をやりつつ、居眠りしていたことに気づく。
頬に違和感。
洗面所に行き、鏡で確認すると。
アクリル絵の具が頬にビタッと付いている。
「あちゃー……」
やらかした。
まだ課題も終わってないし。
でも。
(まだ夢の中に居たかったな)
……風太。
メッセージも。
電話も。
全然繋がらなくて。
私の気持ち、聞いてほしいのに。
寂しいよ。
「和音ちゃん、ほっぺたに付けたね」
大学のゼミの教室で。
やっこがニコニコしつつ、私の頬を指差す。
「まだわかる?」
やっこは嬉しそうに頷く。
「課題?今はどれやってんの?」
「畠中先生のさー、架空のデザインのやつ」
やっこは目を大きくして、
「あぁ!架空のお菓子を想定して、そのパッケージデザインを考えるやつ?」
と、眉毛を下げた。