片恋 好きな人には好きな人がいる


何て言おうか頭の中で考えてから俺は口を開いた。


「なぁ輝、みんなに優しくするのはいいけど、あんまり思わせぶりな態度するなよ?それで傷つく奴も居るかもしんねぇし。お前だって刺されたら困るだろ?」


俺の言葉に目をぱちくりさせたあと、顎に手を当て考え始めた。


「僕、そんなつもりないんだけどな〜」


「だから気をつけろって言ってんだよ」


本気でわかっていないような一輝に思わずため息が出る。


こいつは本当に……。


「んー、でもみんなのこと好きだし、仲良くしたいし優しくもしたいじゃん?」


そう言って笑う一輝に俺は呆れ果てるしかなかった。


やっぱり、こいつは自分がどれだけ好かれているのか自覚がないようだ。


だから余計にタチが悪いんだよな……。


これが天然なのかわざとなのかさっぱりわからないが、少なくとも一輝が意識的にやっていることではないことは確かだ。


まぁ、これ以上言っても仕方ないか。


「でも、珍しいね。旭がそんなこと言うの。いつも無関心なのに」


「うるせぇ。…って、俺そんな感じなのか?」


「そうだよ?他人に興味ないよね」


きっぱり言われて肩を落とした。

確かに他人に興味がないけど、改めてはっきりと言われると結構グサッとくるもんなんだな。
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