片恋 好きな人には好きな人がいる
一輝のお話
旭との出会い
「ねぇ、なんでみんなと一緒に遊ばないの?」
一人で砂遊びをしている旭に声をかけたのが最初の出会いだった気がする。
「別に…」
ぶっきらぼうに答えると、また一人で黙々と砂で山を作っていく。
僕が話しかけてるのに、こっちを見もしないで返事されたのは初めてで、正直ムッとした。
何だよ、せっかく心配してやってるのに。
隣のクラスで見かける旭はいつもつまらなさそうな顔をしていて、どこか遠くを見ているように感じた。
「ねぇ、どうしていつもつらまなさそうな顔してるの?」
「え…?」
びっくりしたような顔をした旭は、しばらく固まったあと、またいつもの無愛想な顔に戻ってしまった。
「そんな顔してるつもりないけど…」
「してるよ!つまんなそうな顔!友達と遊んだりしないの?楽しいよ!」
「別に」
バッサリと言い切られて、更にムッとした。
「僕ね、みんなに優しいって言われてるんだ!だから、僕と友達になったらきっと楽しくなるよ!だからさ、友達になろうよ!」
「やだ」
やだ!?今こいつやだって言った? ひどくない? ちょっと泣きそうになったけど、ぐっと涙をこらえた。
ここで泣いたら、負けな気がしたから。
そんな僕をチラッと見て、立ち去ろうとする旭の腕を摑んで引き止める。
「待って!名前くらい教えてよ!」
旭はしばらく考えたあとに渋々といった感じで名前を教えてくれた。
「佐竹…旭」
それから毎日、僕は旭を遊びに誘ったけどいつも無視されるか、一言二言で断られるだけだった。
それでもめげずに誘い続けたある日、ついに少しづつだけど会話が続くようになっていった。
なんであんなに必死だったのか、自分でもよく分からないんだけど、多分、他の子とは違う新鮮さに興味を持ったんだと思う。
それに、どうしても旭を笑わせてみたかったんだと思う。
一緒に遊ぶようになってからも、やっぱり旭はあまり喋らないし、笑顔も見せなかった。