片恋 好きな人には好きな人がいる
小さな変化
「旭!」
「一輝とまた一緒かよ」
「なに、不満なの?」
「別に」
「僕は嬉しいけど!」
「そーですか」
相変わらずやる気のない返事をする旭の横顔を見て僕はクスッと笑ってしまう。
無事、志望校に合格出来てた僕たちは同じクラスになった。
クラスに馴染み始めて二ヶ月ほど経った頃、僕の周りには人が集まってくるようになった。
休み時間になると、男女問わず色んな人が話しかけてくれるけど僕の中ではみんな仲良し、みんな同じくらい好きの意識は変わってない。
一人を除いては…。
そんな中、ふとクラスの女の子と目が合った。彼女は顔を赤らめて目を逸らし俯く。
えっーと、あの子は確か…立花さん?下の名前は忘れたけど、最近よく目が合う気がするんだよな。
そういえば、入学式の日に筆箱忘れたみたいたでオロオロして困ってたからペン貸したんだっけ。
大人しめで可愛いらしい顔立ちをしている立花さんとはあんまり話すことなかったから忘れてた。
クラス替えから三ヶ月経ち、期末テストが近づき教室全体に勉強ムードが広がると僕の周りには人が勉強を教えてほしいと集まってた。
でも、旭は自分の席に座ったまま動かない。