片恋 好きな人には好きな人がいる
「ごめんね、誰かと付き合うとか今は考えられなくて。嫌いとかじゃなくて畑中さんは可愛いからもっと相応しい人がいると思う、中途半端な気持ちでは畑中さんに失礼だから…ごめんね」
昼休みに呼び出された校舎裏で僕は告白してくれた女の子に謝った。
傷つけたかもしれないけど、中途半端に付き合ったり出来ない。
それに、僕が好きなのは…。
「ごめんね、ありがとう」と悲しげに言い残し去っていく後ろ姿を見ながらため息をついた。
これで何人目だっけ……。
正直言ってこういうやり取りにはもう疲れた。
もう嫌だな…。
こんな事、旭に言ったら"贅沢だな"って言われるんだろうな。
そんなことを思いながら重い足取りで教室に戻ると、廊下で立花さんと出くわした。
「あ、大場くん。さっき先生が呼んでたよ」
「え?なんだろ。教えてくれてありがとね」
「ううん、じゃあ…私行くね」
「うん」
笑顔で手を振ってくれる立花さんに手を振り返し、僕も自分の席に戻った。
「どこ行ってたんだよ?畑中って奴がトイレ我慢してんのかモジモジしながら俺に一輝がどこに居るか聞いてきてたぞ!」
隣の席に座る旭はお弁当を食べながら僕に聞いてきた。