片恋 好きな人には好きな人がいる


驚いて顔を上げると、そこには佐竹くんが立っていた。


「おい、大丈夫か?なんか最近様子おかしくねぇか?」と心配そうに顔を覗き込んできた。


その言葉にドキッとするが、何とか平常心を保ちつつ返事をする。

大丈夫!と笑って誤魔化してみたものの上手く笑えているか心配。


佐竹くんが眉間にシワを寄せてまだこちらを見ている。


「お前、目の下に隈出来てんぞ」


思わず顔に手を当てると、呆れたようにため息をつかれた。


「寝てねぇのか?あんまり無理すんなよ。倒れたら元も子もないだろ」


「うん……。そうだね。気をつけるよ」


心配してくれる佐竹くんに、申し訳なくて俯いてしまう。

「旭!」と佐竹くんを呼ぶ声が聞こえたと思ったら、パタパタと走ってくる足音が聞こえてきて、顔を上げた時にはすぐ目の前に大場くんがいた。

「遅いよー」と文句を言いながら佐竹くんの隣に立った。


「あれ?立花さん顔色悪いよ?大丈夫?」


至近距離で目が合ってドキッとする。


「だ、大丈夫だよ……」


動揺していることを悟られないように、必死に平静を装って答えたが声が上擦ってしまった。


「本当?あまり無理しないでね」


そう言って優しく微笑んでくれた。

やっぱり好きだなぁと思ってしまう自分がいる。
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