和歌を詠む
キヨシは、大学院では、東海道五十三次を研究したが、学歴なんて活かされず、学歴とは関係のない今の食品メーカーに勤務している。
会場のみんなは、「何だ、今更和歌かよ」とかの雰囲気になっていたが、それでも、拍手をした。
しかし、一人だけ、スマホの写メで、カシャとキヨシの写真を撮った。
それは、ミユキだった。内田真礼に似たミユキだった。
忘年会は、マジックをした30代の入山が、チャンプになった。そして、キヨシは、駄目だった。人気なんてなかった。
だが、何故か、一番、最後に票が一つだけ入っていた。みんなは、マジックをした入山と二次会で飲みに行ったが、キヨシは、帰ろうとした時だった。
会社の忘年会から帰ろうとした。そこに、ミユキが、いた。
「三条さん」
「はい」
「今日の短歌、良かったです」
「いや、オレ、あんなのしか興味がなくて」
「いや、最高だった」
「どこかです?」
「箱根」
「え、『箱根八里』とか『東海道五十三次箱根宿』でも興味があるのですか?」
「はい」
「私の地元」
「はい」
「箱根です」
「え」となった。
「箱根で飲食店をしています」
「私、実は、三条さんの和歌を聴いて、良かったなぁって」
「いや」
「これから、私たち、どこか食事へ行きませんか?」…二人は、その後、ゆっくり付き合いが始まったらしい。<完>
会場のみんなは、「何だ、今更和歌かよ」とかの雰囲気になっていたが、それでも、拍手をした。
しかし、一人だけ、スマホの写メで、カシャとキヨシの写真を撮った。
それは、ミユキだった。内田真礼に似たミユキだった。
忘年会は、マジックをした30代の入山が、チャンプになった。そして、キヨシは、駄目だった。人気なんてなかった。
だが、何故か、一番、最後に票が一つだけ入っていた。みんなは、マジックをした入山と二次会で飲みに行ったが、キヨシは、帰ろうとした時だった。
会社の忘年会から帰ろうとした。そこに、ミユキが、いた。
「三条さん」
「はい」
「今日の短歌、良かったです」
「いや、オレ、あんなのしか興味がなくて」
「いや、最高だった」
「どこかです?」
「箱根」
「え、『箱根八里』とか『東海道五十三次箱根宿』でも興味があるのですか?」
「はい」
「私の地元」
「はい」
「箱根です」
「え」となった。
「箱根で飲食店をしています」
「私、実は、三条さんの和歌を聴いて、良かったなぁって」
「いや」
「これから、私たち、どこか食事へ行きませんか?」…二人は、その後、ゆっくり付き合いが始まったらしい。<完>