友達が結構重たいやつだった
ずっと愛海のそばにいたい
卒業後も愛海のそばにいたかった俺は大学のレベルを下げようと思っていたから親は大喜びしていた。しかし愛海にとってこの進路は、かなり厳しいものとなってしまう。
留年回避のために遊ぶ暇もない程必死で勉強しなければならなくなった愛海は、あんなに欲しがっていた彼氏を諦めたらしく、俺はそのことに安堵していた。
愛海はとにかく可愛いのだ。外見的な可愛さもさることながら、特筆すべきはその中身の可愛さだろう。
親近感が大切だと語るだけのことはある。愛海はまさにそれの塊のような存在だ。とにかく雰囲気が優しくて、擬音で表現すると『ふわふわ』『ぽかぽか』‥‥そして根暗な俺には眩し過ぎる程の明るいオーラを常に放っている。愛海は多分歩くパワースポットだ。癒し効果が半端ない。そばにいるだけでHPが回復する。
愛海の周りには自然と人が集まり、そんな彼女は当然男にももてるのだ。
高校の時もそれなりに苦労したが、大学での愛海を例えるなら『サファリの猛獣ゾーンに放たれた子ウサギちゃん』が相応しい。毎日が一瞬の隙も許されない状態なのである。
俺は時間が許す限り愛海のそばを離れず、愛海を狙う猛獣共を牽制し続けた。もし以前のように積極的に動かれてたら、さすがに守りきることはできなかっただろう。
俺が邪魔しなければ愛海の望みは多分叶う。出会った頃から一貫して彼氏を欲しがっていた愛海にとって、今の状況は本望ではないのかもしれない。罪悪感はあるが、俺が愛海を諦められないのだからしょうがないのだ。
本当は俺が彼氏になって愛海の望みを叶えたいのに、俺はあくまでも友達。愛海の場合、一目惚れ以外では恋人ルートが開かないと思い込んでいるようなので、初対面で最悪な第一印象を与えてしまった俺は友達になれただけでも御の字で、どうあがいても恋愛対象にはなりえなかった。
その結果、愛海は俺という鳥籠の中に捕らわれた。愛海がその不自由さに気づき逃げ出したくならないよう、俺はひたすら彼女に尽くすことで鳥籠の中を快適に保つ努力を続けた。
だが、その努力にも限界が訪れる。
愛海は化粧品会社への就職を希望し、業界大手の子会社である高級化粧品メーカーの研究職で内定を受けた。
研究職で就職率に男女差があまりないとはいえ採用枠は小さい。もちろん取り繕うことはしたが、一皮むけば志望理由が『愛海』でしかない俺が、うまいこと愛海と同じ会社に内定をもらえる程社会というのは甘くはなかった。
卒業後は別々の道を行くことが決定的となり途方に暮れた俺に、更なる絶望が待っていた。
留年回避のために遊ぶ暇もない程必死で勉強しなければならなくなった愛海は、あんなに欲しがっていた彼氏を諦めたらしく、俺はそのことに安堵していた。
愛海はとにかく可愛いのだ。外見的な可愛さもさることながら、特筆すべきはその中身の可愛さだろう。
親近感が大切だと語るだけのことはある。愛海はまさにそれの塊のような存在だ。とにかく雰囲気が優しくて、擬音で表現すると『ふわふわ』『ぽかぽか』‥‥そして根暗な俺には眩し過ぎる程の明るいオーラを常に放っている。愛海は多分歩くパワースポットだ。癒し効果が半端ない。そばにいるだけでHPが回復する。
愛海の周りには自然と人が集まり、そんな彼女は当然男にももてるのだ。
高校の時もそれなりに苦労したが、大学での愛海を例えるなら『サファリの猛獣ゾーンに放たれた子ウサギちゃん』が相応しい。毎日が一瞬の隙も許されない状態なのである。
俺は時間が許す限り愛海のそばを離れず、愛海を狙う猛獣共を牽制し続けた。もし以前のように積極的に動かれてたら、さすがに守りきることはできなかっただろう。
俺が邪魔しなければ愛海の望みは多分叶う。出会った頃から一貫して彼氏を欲しがっていた愛海にとって、今の状況は本望ではないのかもしれない。罪悪感はあるが、俺が愛海を諦められないのだからしょうがないのだ。
本当は俺が彼氏になって愛海の望みを叶えたいのに、俺はあくまでも友達。愛海の場合、一目惚れ以外では恋人ルートが開かないと思い込んでいるようなので、初対面で最悪な第一印象を与えてしまった俺は友達になれただけでも御の字で、どうあがいても恋愛対象にはなりえなかった。
その結果、愛海は俺という鳥籠の中に捕らわれた。愛海がその不自由さに気づき逃げ出したくならないよう、俺はひたすら彼女に尽くすことで鳥籠の中を快適に保つ努力を続けた。
だが、その努力にも限界が訪れる。
愛海は化粧品会社への就職を希望し、業界大手の子会社である高級化粧品メーカーの研究職で内定を受けた。
研究職で就職率に男女差があまりないとはいえ採用枠は小さい。もちろん取り繕うことはしたが、一皮むけば志望理由が『愛海』でしかない俺が、うまいこと愛海と同じ会社に内定をもらえる程社会というのは甘くはなかった。
卒業後は別々の道を行くことが決定的となり途方に暮れた俺に、更なる絶望が待っていた。