友達が結構重たいやつだった

恋人の好き

「いや、これから就職するのに、結婚とか普通に無理じゃない?」

 私と龍二の関係はとりあえず置いておくとして、マジレスしてみる。

「すぐじゃなくてもいい。でも俺は本気で愛海と結婚したいと思ってる」

 これが冗談じゃないのはなんとなく雰囲気で伝わる。だけど、色々すっ飛ばしていきなりのプロポーズは意味がわからな過ぎる。

「なんで?なんでいきなり結婚?私達ずっと友達だったじゃん」

「いきなりなんかじゃない。俺にとって愛海は友達だけど友達じゃなかった。俺の『好き』は最初からずっと『恋人の好き』だったんだよ」

 え?龍二の好きが恋人の好き?最初から?

「俺は愛海の彼氏になりたくて何度も好きって伝えてたよ?それを無理矢理『友達の好き』にすり替えてたのは愛海でしょ?」

「だって‥‥龍二は友達だと思ってたから‥‥」

「愛海の好きが『友達の好き』なのはわかってる。それがいきなり『恋人の好き』にならないのもわかってる。でもそこで思考を止めて欲しくない。もしかしたら俺への好きが友達から恋人に変わるかもしれないっていう可能性について、少し考えてみて欲しいんだ」

 龍二への好きが友達じゃなくて恋人の好きになる‥‥?意味はわかるが想像しにくい。

「そもそも私は『友達の好き』しか知らないんだよ?もし気持ちに変化があっても気づけないかもしれない‥‥」

 そうだ。それがわかるくらいなら、私にだってとっくの昔に彼氏ができていてもおかしくないじゃないか。

「高校の時、俺に彼女がいたことあったの覚えてる?あの時の俺は今の愛海に近いかもしれない。彼女は俺のことが好きだったけど、俺は友達以上の好きにはならなかった」

「付き合ってる内に好きになると思ったけど無理だったって、あの時龍二言ってた」

 それで私は『とりあえず付き合ってみる』という選択肢を排除することになったのだ。そのせいで人を好きになることへの難易度が更に上がった気がする。

「あー‥‥だって、俺は愛海のことが大好きだったから。彼女のこと愛海よりも好きになるのが無理だって話じゃんか?でも今はそこじゃなくて、あの時友達と恋人の好きの違いについて話したと思うんだけど‥‥」

「ち○こが勃つか勃たないか?」

「それそれ。でも実は、その前段階で違いがわかると思うんだよね。多分だけど、間違いないと思う」

 前段階‥‥‥‥?

「キス」

 きす?‥‥‥‥キス!?
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