友達が結構重たいやつだった
「いや、愛海が理系なのは国語が壊滅的な点数だったからだし、ち○ことか言ってるとヤバイ奴だと思われるよ?」

「え!?私、口に出してた?」

「うん、出てた」

 当然のような顔をして私の隣にいるのはもちろん龍二。3年になってクラスが別れてしまった私達だったが、龍二に勉強を教えてもらって成績を伸ばし、彼と同じ大学に進学することができたのだ。本当、龍二様々である。

 だがしかし、憧れのキャンパスライフは、私の想像していたものとはかけ離れていた。

 きっちきちに詰まった時間割、課題の無限地獄‥‥留年しないため、毎日必死で勉強する日々が延々と続くのだ。

「彼氏‥‥彼氏が欲しい‥‥誰か‥‥私に癒しを‥‥」

「はいはい、癒しを買ってきてあげたよ。ほらもう少しだから頑張って」

 課題の締め切りが重なって屍と化した私の目の前に、コンビニスイーツとコーヒーが置かれた。

「モンブラン‥‥好き‥‥私‥‥これ‥‥大好き‥‥」

「言語機能バグってるじゃん。これが終わったら何か美味しいもの食べに行こうよ。手伝ってあげるから、早くやっちゃいな」

「肉‥‥」

「わかった、焼き肉ね?ほら、頑張れ頑張れ」

 同じ授業を取ってるはずの龍二が余裕綽々なのは解せんが、なんやかんや言ってもこうして助けてくれるのだからありがたい。

 思えば大学に入ってから、一日の大半を龍二と過ごすようになっている。完全理系脳な龍二と違って消去法で理系を選択した私には、この大学は厳し過ぎたのだ。龍二の支えがなかったら、私なんて早々にドロップアウトしていたことだろう。

 男の子とのデートはおろか新たな出会いを求める機会もなくなった私に彼氏なんてできるはずもなく‥‥

「私、そろそろ本物のち○こが生えてきちゃうかも‥‥」

「あははは!大丈夫!ち○こが生えても俺は愛海が大好きだから!」

「龍二!心の友よ!ありがとう!私は龍二に生かされてる!まじ感謝!」

 勉強は大変だし彼氏もいないけど、今の私は結構幸せだ。龍二がいつも一緒にいてくれるおかげで、割と楽しい学生生活を送れてしまっている。

 彼氏が欲しくないわけではない。だけど、実際いたとしても関係を継続させるのは多分難しいのだ。今の私にそんな余裕があるとは思えないし、両立できずに最悪どっちも破綻させてしまうだろう。

 だったら今のままでいい。今のままがいい。
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