最強総長さまは元執事
「愛華、教室が見えてきたよ」
やば。ぼーっとしてた
えーっと、あれか。1-Aってプレートのとこ
「うん、あれがきょーしつね」
「そうそう。………って、なんか煩いな」
……確かに。スッゲー五月蝿い。男の声だけじゃなく、女の声も結構聞こえる。声だけでケバいことが分かる。なんかやだなー
「……クラス替えではしゃいでるのかな。いつもはこんな煩くないんだけどね」
あんなの庇わなくていいのに、と思ったけどどうやら漢字が違いそうだ。理人兄、ホントは黒いもんな〜
と、そこで教室に着いた。遠かったなー
「……はぁ〜。しょうがないな。愛華、今から僕だけ先に入るから、呼んだら入ってきてね」
「分かった」
短く応えると、理人兄に頭を撫でられた
「ふふっ」
懐かしくて嬉しくて、らしくなく笑ってしまった
そんな私を見て、柔らかく目尻を下げた理人兄がゆっくりと教室に入っていった