最強総長さまは元執事
思考が、止まった。
というか心臓が止まった。
あまりにも聴き覚えのありすぎる声に。
ずっと、聞きたかった声。
ずっと、聴きたくなかった声。
ずっと、会いたかった人の声。
ずっと、逢いたくなかった人の声。
あいたくてあいたくて、でも、あいたくなかった。
私には、大好きな君にあうなんて、そんな資格ないから。
私の後ろから声がしたことを
信じられない、信じたくない、
でも、
—————信じたくてしかたない。
私に今、声をかけてきたのは確かに君だってことを。
振り向きたい、確認したい、
でもそんな資格、私にあるの?君と顔を合わせる資格なんて、また君と話せるなんて、そんな資格。
“頭では”そう考えている。でも、どうしようもない強い衝動が私を突き動かす。
振り向きたい、君を見たい、もう一度話したい、話しかけてほしい、
—————ごめんなさい、って伝えたい。