最強総長さまは元執事
翌朝。
欠伸をしながら窓の外を見ると、早朝にもかかわらず引越しの人達が荷物を運び込んでいて、流星も運び込みを手伝っていた。
そういえば流星って昔から人より力あったよなぁ……と思い出す。
「りゅーせ〜!」
寝ぼけながらも着替えてから部屋を出て、流星のところへ向かう。
私の声に気づいた流星と目が合った。
「愛華様。おはようございます。」
「おはよー。」
「……まだ眠たいでしょう??」
愛華のトロンとした目を見て言う流星。
「えー…。うん、まだねむい〜。」
(可愛すぎだろ……。この小悪魔め…。)
そんな心情はつゆ知らず、ふにゃーとした笑顔になる愛華に、いかにも新参といった若い男社員が顔を真っ赤に染めた。
「チッ……」
(こいつ、愛華に惚れないだろうな??次からは使わねーようにしないとな…。)
めちゃくちゃ可哀想な新参であった。
♡♡♡
全ての家具を運び終えた後、流星の家にお邪魔した。
「この家広いね〜!」
「ふふ、そうですか? では一緒に住みましょうか。」
「いえ結構です。」
「そうですか…、残念です。」
もう、この人はホントに……。お陰で目が覚めたけど。
——まさかこの言葉が本当になるなんて、このときの私は思ってもいなかった。