最強総長さまは元執事
正体 —Identity—
予感
「ねーねーどこ行く??」
「祭り一緒に行こーぜー」
ザワザワ。
「えー、告っちゃえばいいのに〜」
「課題やべー。ま、しねぇけどなー」
ザワザワ。
「………うるさい。」
「では黙らせましょう。」
「……やっぱり大丈夫。」
いつも五月蝿いこのクラスが、さらに五月蝿い。
その理由は———
「みんな、夏休みってだけで浮つくよね…。」
「馬鹿共ですから。」
「………。」
そう。明日から夏休みに入るからだ。
「まあ私も、愛華様とずっとご一緒できるので浮かれていますし…。人のことは言えませんが。」
そして流星が甘い。とっても甘い。砂糖多量摂取で私がやられそう。
「ですが理由が全く違いますし。やはり無能は無能。馬鹿は馬鹿です。」
しかも異常に周りへの当たりが強い。
……流星ってこんな毒舌だったっけ??
「流星。ちょっといいか??」
「………。」
「無視するな。」
そんな会話をしていると、担任である理人兄に流星が呼ばれた。
「……流星。」
理人兄をガン無視する流星に、仕方なく私が声をかける。
「なんでしょう?」
……私だと即返事するのはなんなのよ…?
「理人兄を無視しないで。ちょっとでしょう?行ってきて。」
「ですが……」
「大丈夫。心配しすぎよ。」
「………承知しました。」
後ろ髪を引かれるように、何度も振り返りながら流星はやっと理人兄に着いていった。