最強総長さまは元執事


そして、魔王ならぬ流星さんが一瞬でゴミ共を沈黙——息の根を止める勢いで気絶——させた。


「愛華さま。お目汚し、大変申し訳ありません。一生聞く必要のない雑音もお耳に入れてしまい……」

「別にいいわ。」

「ありがとうございます。」

まるで、許されることが分かっていたような素早い返しだったけど、気にしないことにする。

それより、さっきカスが言っていたことが気になる。あれは聞き間違いでも、幻聴でも、ない。絶対に。



———「流星様っていえばさ……、今年の夏も暴走あるよね? Dignity(ディグニティー)の!!

———「その女!! Dignity(ディグニティー)の姫なんだろう!?」

——— 「まさかあの Dignity(ディグニティー)のトップが美人といるなんてなー??」


“流星様” “ディグニティー”

そう。思い返せば、2つの単語は繋がっていた。
ただ、私が認められなかった。それだけ。


藤宮流星は、ディグニティーという暴走族の、トップ。

……つまり、“総長”であるということを。


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