かりそめ婚のはずなのに、旦那様が甘すぎて困ります ~せっかちな社長は、最短ルートで最愛を囲う~
そんな話をしているうちに、望晴の両親もやってきた。
「こんにちは、由井さん。お招きいただいて、ありがとうございます。で、望晴、結婚なんて聞いてないわよ」
入ってくるなり、母に言われ、望晴は首をすくめた。
「えっと、あとで言おうかと……」
しどろもどろに言い訳をする。
拓斗が立ち上がり、挨拶した。
「初めまして。由井拓斗と申します」
「やぁ、初めまして、望晴の父です」
「母です。望晴がお世話になっています。望晴が結婚できるなんて、本当になんと感謝していいのやら……」
涙ぐむ母は望晴の大学時代のことを思い出しているのだろう。そこから男性恐怖症になっていたのを知っていたので、結婚は無理だと考えていたようだ。なにも具体的に話したことはなかったが、心配をかけていたのだなと望晴も目が潤んできた。
でも、いよいよ本格的に結婚相手の親への挨拶の様相になってきて、望晴の手のひらに汗がにじむ。
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。結婚を決めたばかりで、まだなにも予定が立っておらず……」
拓斗がそれとなく結婚するのは先だとほのめかした。
すると、祖父が血相を変えた。
「それはいかん! もうすでに一緒に住んでいるんだろう? ちゃんとけじめをつけなくては、西原さんに申し訳が立たん! 結婚式は先にしても入籍したらどうだ?」
「見て、ちょうど結婚情報誌のおまけに婚姻届がついてたのよ。これを使ったら?」
「もう同棲してるの、望晴? もう聞いてないことばかりよ。でも、それなら入籍は早いうちがいいわね」
みんな寄ってたかって、拓斗と望晴を入籍させようとする。逃がさないという圧がすごい。
「ちょっと待ってください。いきなり入籍って、僕も望晴さんも心の準備ができてませんよ。だいたい、ばあちゃん、なんでそんなの持ってるんだよ!」
たまらず、拓斗が口を挟んだ。
「だって、あなたが結婚すると聞いたから、最近の結婚式はどんなのかしらと思って、浮かれて買っちゃったの」
祖母がえへっとチャーミングに笑う。よっぽどうれしかったらしい。
「心の準備というが、結婚を決めたのだったら、もう入籍してもいいじゃないか。わしは拓斗の婚姻届の証人になるのが夢だったんだ」
祖父が尚も言い募った。
拓斗は引きつった顔で言う。
「望晴さんと相談させてもらってもいいですか?」
そう言って、拓斗が望晴を隣の部屋に引っ張っていった。
話の展開についていけず、望晴はあ然としていた。
「こんにちは、由井さん。お招きいただいて、ありがとうございます。で、望晴、結婚なんて聞いてないわよ」
入ってくるなり、母に言われ、望晴は首をすくめた。
「えっと、あとで言おうかと……」
しどろもどろに言い訳をする。
拓斗が立ち上がり、挨拶した。
「初めまして。由井拓斗と申します」
「やぁ、初めまして、望晴の父です」
「母です。望晴がお世話になっています。望晴が結婚できるなんて、本当になんと感謝していいのやら……」
涙ぐむ母は望晴の大学時代のことを思い出しているのだろう。そこから男性恐怖症になっていたのを知っていたので、結婚は無理だと考えていたようだ。なにも具体的に話したことはなかったが、心配をかけていたのだなと望晴も目が潤んできた。
でも、いよいよ本格的に結婚相手の親への挨拶の様相になってきて、望晴の手のひらに汗がにじむ。
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。結婚を決めたばかりで、まだなにも予定が立っておらず……」
拓斗がそれとなく結婚するのは先だとほのめかした。
すると、祖父が血相を変えた。
「それはいかん! もうすでに一緒に住んでいるんだろう? ちゃんとけじめをつけなくては、西原さんに申し訳が立たん! 結婚式は先にしても入籍したらどうだ?」
「見て、ちょうど結婚情報誌のおまけに婚姻届がついてたのよ。これを使ったら?」
「もう同棲してるの、望晴? もう聞いてないことばかりよ。でも、それなら入籍は早いうちがいいわね」
みんな寄ってたかって、拓斗と望晴を入籍させようとする。逃がさないという圧がすごい。
「ちょっと待ってください。いきなり入籍って、僕も望晴さんも心の準備ができてませんよ。だいたい、ばあちゃん、なんでそんなの持ってるんだよ!」
たまらず、拓斗が口を挟んだ。
「だって、あなたが結婚すると聞いたから、最近の結婚式はどんなのかしらと思って、浮かれて買っちゃったの」
祖母がえへっとチャーミングに笑う。よっぽどうれしかったらしい。
「心の準備というが、結婚を決めたのだったら、もう入籍してもいいじゃないか。わしは拓斗の婚姻届の証人になるのが夢だったんだ」
祖父が尚も言い募った。
拓斗は引きつった顔で言う。
「望晴さんと相談させてもらってもいいですか?」
そう言って、拓斗が望晴を隣の部屋に引っ張っていった。
話の展開についていけず、望晴はあ然としていた。